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牛久シャトーについて

牛久シャトーとは

牛久シャトーは、実業家である神谷傳兵衛が、1903(明治36)年に茨城県牛久市に開設した日本初の本格的ワイン醸造場。フランスに現存した醸造場をモデルに、ボルドー地方の技術を用いて、葡萄の栽培からワインの醸造・瓶詰めを一貫して行なっていました。

現在は、約6万平方メートルある敷地内に、当時の建物を活かした記念館を展開し、神谷傳兵衛の足跡と当時のワイン造りの資料や、オエノングループの歴史を紹介しており、多くの方が訪れます。

2007(平成19)年11月には経済産業省より「近代化産業遺産」に認定、2008(平成20)年6月には国の重要文化財に指定、そして2020(令和2)年6月に「日本遺産(Japan Heritage)」に認定されるなど、その歴史的価値の高さが広く認められています。

近代化産業遺産とは

2007(平成19)年11月に経済産業省より、牛久シャトーが「近代化産業遺産」に認定されました。経済産業省が、日本の産業の近代化に貢献した設備や建造物などが持つ価値を、地域活性化に役立てることを目的に実施したものです。「シャトーカミヤ(現 牛久シャトー)」は国産ワイン醸造の発展に貢献したことが認められ「ワイン」の遺産群として認定されました。明治時代に建築されたもので、当時のワイン醸造の発展に重要な役割を担いました。

近代化産業遺産とは

日本各地には、産業近代化の過程を物語る存在として、数多くの建築物、機械、文書が今日まで継承されており、これらの果たしてきた役割や先人たちの努力など、豊かな無形の価値を今に伝えています。このような建築物等の歴史的価値をより顕在化させ、地域の活性化に役立てることを目的として、これらを「近代化産業遺産」として大臣認定したものを指します。

国指定重要文化財に指定

事務室
醗酵室
貯蔵庫

2008(平成20)年4月の文化審議会答申を経て、2008年6月9日に牛久シャトー旧醸造場施設3棟が「最初期の本格的ワイン醸造場施設」として、文部科学大臣から国の重要文化財に指定されました。

指定されたのは、「事務室」(現:本館)、「醗酵室」(現:神谷傳兵衛記念館)、「貯蔵庫」の旧醸造場施設3棟。
明治中期の煉瓦造建築として歴史的価値の高さと、当時の醸造方式を理解するうえで産業技術史における価値が高いという2点が評価されました。

※国指定重要文化財の「事務室」(現:本館)および「貯蔵庫」の一般公開は行っておりません。

指定理由

最初期の本格的ワイン醸造場施設(近代/産業・交通・土木)牛久シャトー旧醸造場施設 3棟(事務室、醗酵室、貯蔵庫)
牛久シャトー旧醸造場施設は、神谷傳兵衛が創設したワイン醸造施設で、現存する事務室、醗酵室、貯蔵庫は明治36年9月竣工とみられる。
本施設は、明治中期の本格的な煉瓦造ワイン醸造所の主要部がほぼ完存しており、高い歴史的価値がある。とりわけ醗酵室は、各階ごとに配された設備構成等から当時のワイン醸造工程を窺うことが可能であり、産業技術史上も重要である。
また、事務室は、シャトーを名乗るに相応しい意匠を有し、明治中期の煉瓦造建築の意匠水準を計るうえでも価値が高い。
※指定基準=歴史的価値の高いもの

2008年4月18日文化庁プレス発表資料

施設概要

事務室
煉瓦造、建築面積308.52平方メートル、2階1部1階建、鉄板瓦、時計塔付
醗酵室
煉瓦造、建築面積436.75平方メートル、地上2階地下1階建、鉄板瓦、西面及び南面突出部附属
貯蔵庫
煉瓦造、建築面積404.58平方メートル、1階建、鉄板瓦(内装を除く)、北面醗酵室に接続、東面北側醗酵室西面突出部に接続
設計
岡田時太郎
所有者
オエノンホールディングス株式会社(会社概要)

日本遺産に認定

2020(令和2)年6月に、茨城県牛久市と山梨県甲州市が共同申請したストーリー「日本ワイン140年史~国産ブドウで醸造する和文化の結晶~」が日本遺産に認定されました。国指定重要文化財「シャトーカミヤ旧醸造場施設3棟」を有する牛久シャトーは、日本遺産として認定されたストーリーを構成する重要な文化財であり、宮光園(山梨県甲州市)と共に、日本ワイン関係の文化遺産施設として継承されている点や、明治時代に国営では果たせなかったワイン醸造を地域の特性を生かして民間の力で成し遂げるなど、人と土地が結びついた物語に夢を感じさせる点が評価されました。

日本遺産とは

文化庁が平成27年度から創設した制度で、地域に点在する有形・無形の文化財をパッケージ化し、我が国の文化・伝統を語るストーリーを「日本遺産(Japan Heritage)」に認定する仕組みです。歴史的魅力に溢れた文化財群を地域主体で総合的に整備・活用し、世界に戦略的に発信することにより、地域の活性化を図るものです。